前回は「クレド」の概要、目的・効果について学びました。
今回は具体的に「リッツカールトン:ゴールドスタンダード」を例に学びます。

リッツカールトン:ゴールドスタンダード

リッツカールトンと言えば、お客様へ期待以上のサービスを提供し、感動させる話は有名ですが、「大阪のリッツでは、スタッフが書類やパスポート、眼鏡を忘れたお客様に新幹線で届けた」とか、普通に行われている事にびっくりします。
それを実現できるのも、「エンパワーメント / クレド / サービスバリュー」という仕組みがあるからです。

エンパワーメントとは?

1. 上司の判断を仰がずに、自分で判断し行動できる
2. セクションの壁を超えて仕事を手伝う際は, 自分の通常業務を離れる事
3. 1日2,000 ドル(約20 万円)までの決裁権

会社との信頼関係、会社の姿勢にスタッフもモチベーションが上がり、会社に対して愛着や絆を感じることができる。

更にクレドの中身にある、第6のダイヤモンド
ミスティーク(神秘的/驚くような体験)
エモーショナルエンゲージメント(企業・会社愛)
機能的(それぞれが活動能力を有効に発揮する様)
→ 「ミスティーク」は感動を引き起こす
→ 「ミスティーク」を作り出すには「エモーショナルエンゲージメント」
と「機能的」が必要になる。

このように具体的な仕組みと、社員(従業員)同士のコミュニケーション能力と高いモチベーション、それぞれの相互作用によって、高い「顧客のロイヤリティ」を作り上げ維持している。

成果を上げ続けるビジネスモデルにとって、重要なキーワードは、
・デジタル
・マーケティングサービス
・プリント
・パーソナライゼーション
・正しい顧客 : 正しい(最適)情報を、正しい(最適)タイミングで
・LTV(ライフタイムバリュー)
・顧客体験
・データドリブン
でした。

これらのキーワードを相互に活かし、成果を上げるビジネスモデル(事業)を創り、組織を活性化し、市場の変化にPDCAを早く回し対応できる
「人」組織を機能させるには、明確な行動基準指針が必要です。
「同じ尺度」を持つ事は、組織を機能させるには大切な要素です。
「クレド」を活かして対応力が機能的に働く組織を作り上げてください。

いくつかご紹介

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1. 感動ストーリーを共有する
2. 情熱を見せる
3. 真剣に話を聞く
4. 賞賛と批判はミックスして

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【1】感動のストーリを共有する

・Wow(ワオ)ストーリー。週に2 回のWow ストーリー。
お客様がワオ!と思わず言ってしまう、感動ストーリーを世界中の従業員と共有しているのだそうです。
・「ラインナップ」作業15 分前のミーティング
クレドに書かれた行動指針から一つ選び、自分が実践した事を共有したり、他のスタッフが実践した事などを聞いて、インスピレーションを与え合い、モチベーションを上げている。

【2】情熱を見せる(サービスバリュー)

リッツカールトンのマネージャは、お客様・スタッフの前でも笑顔を忘れず、常に頭からつま先まで完璧な着こなしで仕事への情熱を見せている。
情熱はスタッフに伝染していき、モチベーションアップにつながる。

【3】真剣に話を聞く

マネージャ・責任者は特に優先順位の高くないトピックでも、真剣に話を聴き、それぞれのスタッフの意見に頷き、トピックに興味を示す。どんなに小さなことでも、誠意をもってスタッフの話を聴く姿勢が、彼ら(チーム)の信頼と尊敬の基となり、高いモチベーションとチームワークを生み出す。

【4】賞賛と批判はミックスして

マネージャはスタッフのミスを指摘することより、どのようにすれば彼ら(スタッフ)が、より良い働きができるのか、にフォーカスする。
スタッフがミスをしても、決して皆の前で注意することはなく、褒めるときには、皆の前で行うようにしているということです。ミスを指摘するときもネガティブだけにフォーカスせずに、まずは認める。

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例えば、期限(納期)を切って制作依頼をしていたが、結果、内容が違っていて完成データになっていない。

【対応事例】
お願いしていた「〇〇〇作業」時間(納期)通りに作ってくれてありがとう、助かったよ。それで、内容(データ)を見たのだけど □□ の部分が抜けていたんだ。
確認(チェック)はしましたか?
いつも忙しくしているので、満足なチェックをできない状況を作ってしまいすまない。チェックの時間もできて、さらにはチェックをしなくても正確なデータを創るのに何が必要か一緒に考えよう。
データ加工の専門家である △△ 君の意見を聞かせてほしい。
△△ 君なら良いアイデアがあるとおもう。

■ まとめ

【1】【2】【3】【4】とも、共通しているのは「コミュニケーション」です。それが事業に関わるスタッフのモチベーションを高め、つくりあげた「クレド」を機能させています。
更に、仕組みをドライブさせる手立てとして、
・月間のアワード(表彰)
・年間のアワード(表彰)
等を設け、高いモチベーションを維持する仕掛けをしている。「仕組み」をつくるだけではなく、ドライブさせる様々な仕掛けをすることで、実現できています。