前回に続き、今回は「インバウンドマーケティングとマーケティングアクション」の2回目。
最初にまず「リードナーチャリング」から説明いたします。

リードナーチャリング:顧客の育成

マーケティングでは、見込み客の過去の購入リストに対して広告を配置したり、DM やEメールを送ることで潜在顧客にリーチしてきました。
しかし、インバウントマーケティングは想定される顧客像(ペルソナ等)に対し、興味があるであろう情報コンテンツ、好奇心を沸き立たせる関連情報を提供することで顧客を製品/サービスへ誘導していきます。

コンテンツ・マーケティングの考えを基にして、マーケターは顧客を自社のサイトに誘導するため様々なメディア(オウンドメディア/ブログ、Podcast(ポッドキャスト)、YouTube、eBook、ホワイトペーパー、ニュースレター、メルマガ、SEO、SNS など)を活用し、時間をかけて顧客の育成(リードナーチャリング)をしていきます。

マーケティングアクション

オウンドメディアの1つである、
「Webサイト(※ブログ含む)やソーシャルメディア等で、顧客が興味を持つであろう情報を発信し続け、顧客に発見してもらい、見込み顧客(リード)を獲得、育成して顧客になってもらうまで」
の、マーケティング手法ですが、時系列で見ると以下の通りです。

1. ブログ:顧客の興味を引くコンテンツ
商品・サービスの情報は基より、その周辺を含めて掲載することで顧客の興味を上げる。SNSからの誘導も。

2. SNS:顧客同士が互いに興味を持つ
共通の興味・趣味で集った顧客に対して情報発信をする。個人への情報発信を行い、意見情報を収集、自社サイトへ誘導する。

3. キーワード:見込み客がネット検索した際に、見つけやすく関連するキーワードを使う。1. のブログ・コンテンツが豊富になると、更に検索ワードにかかりやすくなる。

4. Webサイト: 製品とサービスにおけるポータルを提供し使いやすく多くの情報を持つWebサイトを設計する。

5. LP(ランディングページ):特別にあつらえるカスタマイズされたページの準備。商品・周辺情報を、さらに興味が沸いて情報を入手したくなるコンテンツを用意する。

6. オンラインフォーム:フォーム経由で連絡先情報を収集。
インセンティブとして、eBookやホワイトペーパーを提供する。
一般的には「ログインさせる」。個人の情報(連絡先など)を入力させる。
※5,6は対と考える。コンテンツの内容が興味あるであろう情報程良い
またはインセンティブを用意する。

7. 連絡先(顧客):新規獲得したリード情報をDBに保存

↓ 以下はMA(マーケティングオートメーション) ↓

8. リードスコアリング:顧客を質と購入意欲により格付け、獲得したリードの質を見極め点数が高い順に数段階または同様のコンテンツに反応するグループに分類。

9. リードナーチャリング:購入に繋がるように、収集した顧客を育成するために関係性を深める。8. で反応したコンテンツに紐づけた情報を発信し、その際には顧客が反応(答える)するコンテンツ内容を含めて発信する。

10. 報告・分析:分析者を使い、顧客の行動をモニタリングし、マーケティング効果を評価する。9.でのログ解析による最適なメッセージ・コンテンツの提供。

11. 顧客の保持(エンゲージメント):営業は顧客との関係のスタートにすぎない。関係を深めるため育成。顧客と関わり合う。

インバウンドマーケティングを機能させるには

■ コンテンツの作成
商品/サービスに関する質の高い情報(関連情報含む)を提供することは、顧客の興味、好奇心(ニーズ)を引き付け、引き付けられた顧客は以降のフォローアップコミュニケーションを求める場合が多く、この場合、ソーシャルメディア(SNS)等が有効に働きます。

■ コンバージョンファネルの絞り込み
営業ファネルの各段階で、段階毎の最適なマーケティングコンテンツが必要になります。製品(商品)の情報をリサーチしている顧客に対し、価格(特別オファー等)の情報、購入オプションの情報にはあまり反応しません。
同様に価格、購入オプションの情報をリサーチしている顧客は製品スペックの情報には反応しません。彼らは目的ごとの最適な情報提供を求め、最適情報を提供することは高評価に通じます。

■ パーソナライゼーション
最新のマーケティングテクノロジーは、仕掛け方次第で顧客情報の深い所まで入手することが可能です。マーケティングキャンペーン毎に様々な顧客情報を細部にわたり入手することが出来るので、顧客に対し最適なメッセージ情報を発信することが出来ます。

■ クロスチャネル/オムニチャネル
顧客は時と場合によって、様々なメディア経由で企業に関わりを持ちます。クロスチャネル(オムニチャネル)は、チャネル毎に顧客の行動を想定し、それぞれのメディアに合った(得意な)表現でのメッセージが必要です。また顧客は、様々なシチュエーションで自分にとって最適なメディアを選択してアクセスします。その場合、各メディア(チャネル)の持っている特性で顧客を分析する必要があります。

■ インテグレーション
各メディア(チャネル)毎の顧客DBでの分析結果を統合し、更に精度の高い顧客情報に仕立て上げることは、より良いパーソナライズ化、さらに最適なメッセージ情報を発信することが可能になり、メディア/チャネル特性を活かしたアプローチが可能になります。